今回は偶然にも前回に取り上げたテーマと同じ「中盤の守備」になりますが、
実際に行って頂いた指導実践を通じて見えたもの、思ったことを書きたいと思います。
また、「中盤の守備」というテーマを通じて、テーマの考察の方法を学べるように、お読みくださった方々のプラスになればと思います。
ウォーミングアップの重要性
今回の指導実践では、ウォーミングアップで抑えなければいけなかったことを抑えることができず、
それが最後まで影響してしまいました。
中盤の守備で主役となるMFが簡単に自分たちのラインを突破されてしまう、という現象に対して、
有効な働きかけができませんでした。
もっと言えば、その課題に気付けるオーガナイズ(コートサイズ、配球)になっていませんでした。
設定自体は2vs2のラインゴールだったので、少なくとも、守備の基礎とも言える≪チャレンジ&カバー≫ができる人数で、反復があり、分かりやすいシンプルな設定だったと思います。
最初はファーストDFさえ決まれば、奪えるシーンも多かったのですが、裏を返すと、狭いコートで、
単調な配球がDF有利と働き、チャレンジ&チャレンジでガチャガチャやっていれば奪えてしまうという無駄な成功体験が重なっただけでした。
にも関わらず、オフェンスのドリブルや2人の間を通されるスルーパスで何度も突破を許すというシーンも散見されたので、ここで整理をしっかりとするべきでした。
ウォーミングアップはDoの確保が大切なので、何度もフリーズをかけて落とし込む必要はないですが、
『これは!』ということを2つくらいに絞り、レストを利用する形でも伝えないといけません。
何を伝えるべきか?は、Gameからの逆算になりますが、中盤の守備を考えると、
『ボールを奪う』ことを強調しながら、でも、突破されないように促し、1stDFが行けるようになって
カバーのポジションを中盤の守備に繋がるように整理します。
これはシンクロコーチングでも可能です。
必要であれば、チャレンジのOn、つまり、ボールがあるところでの個の対応を整理し、必要なければ、早々にカバーのポジションに言及したいところです。(1stDFを軽視するものではありません)
そのカバーのポジションとは、奪いに行ける(インターセプトできる)ポジションであり、間をやられない(縦パスもスルーパスも)、ドリブル突破のカバーもできるポジションになります。
補足ですが、ドリブル突破は、カバーがいる側に突破された際は、カバーができますが、
ライン際など、カバーがいない側に突破を許すと、カバーが間に合いません。
こういう細かいところもウォーミングアップで抑えたいところです。
先にも書いた通り、次のトレーニングに移っても、人数が増えても、
ドリブル突破を許す、間を通される、という現象が頻出し、教えたいことの積み上げがなかったので、
改善に至ることができませんでした。
指導実践においてアップは軽んじられる傾向がありますが、最後のGameで伝えたいことはアップから言わないといけないし、アップで伝えたことはGameでも忘れずに伝え続けなければいけません。
中盤の守備とは
結局、最初に大事な事柄が整理できなかったので、より深くテーマに迫っていけませんでした。
アップの次に行ういわゆるトレーニング①では、サーバ付きの3vs3のラインゴールをしましたが、
1vs1が3つできているような状況で、間をやられない意識、自分たちのラインを破られない意識は
全くと言って良いほどありませんでした。
次のGame前に行うトレーニング②でも、最初から人に付きすぎ、いつもいつも前線の選手がボールを奪いに行くので、行っては剥がされるという現象が続きました。
本来ならば、行けない時も出てくるようなオーガナイズにするべきであり、行けない時はどうするのか?そこからどうやって、いつ奪いに行くのか?を整理する時間にしないといけません。
残念ながら、Gameにこのまま進んでも、選手に迷惑をおかけするだけなので、一旦、実践は終了し、
後の時間は自由にグラウンドを使用して、試合を楽しむという時間に充ててもらいました。
中盤で守備をする意味とは?なぜ、何のために?中盤で守備をするのか?
前線から守備に奪いに行くと背後に大きなスペースを作り、リスクができるし、同時に自陣のゴール前に近付くほど、ボールを積極的に奪いに行くこと自体にリスクが生まれます。
それゆえに、中盤にしっかりと陣を構え、そこに誘い込んで奪うという作業が必要になってきます。
コンセプトで改善するならば、個々やポジションごとにタスクを与え、全体像の為に大きなものから細かいポイントの順番で提示をしてかなければいけません。
育成年代であれば、原理原則に基づき、気付きを与えながら全体像に導いていかなければいけません。
ここで言う全体像がつまりはテーマ理解になり、監督のやりたいことになってきます。
もちろん、どんな監督であっても、監督のやりたいことは基本的に原理原則に外れていることはないはずですし、守備の目的から外れていることは絶対にあってはなりません。
裏テーマを考えてみよう
テーマの考察をする時に、裏テーマ、つまり、相手が何をしているか、相手はどんな状態なのか、
こういった攻守の裏側をのぞくことでテーマの理解につながっていきます。
攻撃側はビルドアップのフェーズを過ぎ、ポゼッションの状態に移っている。そして、そのポゼッションをしながら、つまりは失わないように前進しながら、崩しにかかれる状態に持って行こうとしていると思われます。「前向きでフリーな選手を、できるだけ高い位置で作ろう」としているはずです。
(ビルドアップとポゼッションを厳密に区別はできないので、これは筆者なりの整理になるかも知れませんが、少なくともJFAが発信していることから大きく逸れてはいないはずです。)
となれば、ある程度、安定してボールを保持している相手に対して、闇雲に前線からボールを奪いに行くことはできないですし、既述の通り、意図的に誘い込んでボールを奪うシーンを作り出さないといけません。
この意図的にボールを奪うためのトレーニングを、今回の指導実践では積んでいくことができませんでした。
FWが規制をかけ、1stDFが制限をかけ、次々に限定し、最後の局面で闘ってボールを奪う。ディフェンスラインはロングボールに対してケアをし、コーチングで前の選手をサポートする。GKは背後のスペースをケアする。奪ったら攻撃にきちんとつなげていく…。
それができない時も、相手の攻撃を遅らせ、何度も奪うチャンスを意図的に創造する…。意図的にということは、再現できるということです。
まとめ
- 中盤の守備の主役はMF+FW
- エリアは中盤
- 相手がポゼッションをしている時
- 3ライン+GK全員が連動してボールを奪いに行く
- 原理原則で言えば、サイドにボールを追い込んで、タッチラインとも協力して奪う
- 奪った後は、攻撃につなげる(カウンターorボール保持)
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