コーチングする者が知っておくべき事

サッカー指導法

今回は、コーチングを受ける選手、子どもたちの視点に立って、指導者が知っておくべき選手や子どもの心理状況を学んでいきたいと思います。
前回はコーチングする、指導する側のコーチングの基礎とも言える内容を学びましたが、今回はコーチングを受ける側の内面を、心理学の観点も含めて抑えておきましょう。

スポーツに関する諸概念として

  • 学習性無力感
  • 自己効力感
  • フロー理論
  • ピグマリオン効果とゴーレム効果
  • まとめとしての「余暇の意味生成論」
BIG

学習性無力感

「こんなこともできないのかぁ~」「やっぱり、ダメだなー」などという言葉を、悪気無くても発している事はありませんか?
学習性無力感という理論は、
こんな風に他者から自分の能力に関して否定的な言葉を受ける(受け続ける)ことによって、
自分には能力がないと信じてしまい、挑戦するモチベーションがなくなってしまう現象を言います。

私たち指導者は、選手や子どもにこの学習性無力感を感じさせないようにしなくてはいけません。
言葉は時に大きな刃になる可能性があるのを、十分に自覚しなくてはいけませんね。

  • 成功や失敗が内在的なものか、外在的なものか(内在性)
  • その失敗は続くのか(継続性)
  • 失敗は他の事にまで及ぶのか(一般化可能性)

これらを意識して、特に失敗の時には声掛けをしてみてはいかがでしょうか。
例えば、「この失敗は〇〇くんのせいではないよ。失敗は続かないよ。他では失敗しないさ。」
(思い切り極端な言い方の例です)
このように伝えてあげると、失敗の原因は内在化せず、『失敗が続いちゃうんじゃないか?』
『他でも失敗するんじゃないか』といった本人(失敗した子ども)の意識、継続性や一般化の可能性を否定でき、
ネガティブな心理状態を排除できます。

自己効力感

自己効力感理論は、教育やスポーツにおける動機付けへの応用が認められる事から、
近年、急速に広まって来ました。
自己効力感とは、ある課題に取り組む際に感じる「自分なら達成できる!」という
自己能力に対する信念のようなもので、換言すれば、『自己信頼』『自信』と表現できます。
これまでの研究により、自己効力感を高める要素が4つ明らかになっています。

  • 成功体験
    「前にできた!」という感覚、経験は自己効力感を高める上でも最も有効です。これを応用したスモールステップ法というものがあります。これは学ぼうとする事を細かく段階に分けて、教える方法で、各段階をクリアする度に成功体験を得る事ができます。
  • 代理体験
    自分と同じような境遇にある人が「できた!」と成功しているところを見ることです。
    追体験とも呼ばれ、「あの子ができたのなら私にもできるかも!」と思ってもらう事で
    自信を高めるものです。
  • 言語的説得
    これは他の人に応援されたり、励まされたりして、「自分はできるんだ!」と思えるようになる事です。これには感情的な説得と、論理的な説得があると思います。
  • 生理的&感情的状態
    自分のメンタルやフィジカルのコンディションが整っている時に、自信をもって課題に挑めることができると言われています。
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フロー効果

フロー理論は、どんな時や状況で人は熱中状態、いわゆる「フロー状態」に入れるか?
ということを説明した理論です。
この理論では、課題に取り組んでいる選手の能力レベルと、課題の難易度が釣り合っている時に
人はフロー状態に入ると言われています。

指導者は、選手や子どもの1人1人の能力を把握し、その上で、与える課題の難易度を把握しておく、
そして、必要であればグルーピングに工夫をこらして、個々にあった課題を与えることが肝要です。

ピグマリオン効果とゴーレム効果

ピグマリオン効果とは、他の人からの期待を受けることで、学習成績が向上したり、仕事での成果が上がる心理効果のことです。
スポーツで言うと、コーチに期待された選手、子どもがその期待通りに上達していくというものです。

反対に、ゴーレム効果というものがあり、期待度が低い場合、成績や成果、上達度を下げてしまうことがあります。

人は、周囲の期待に無意識に応えてしまうという心理効果のことを言います。

まとめとして

終わりに、余暇の意味生成理論について紹介します。
この理論は余暇における経験が意義深い人生につながっていることを示すものです。
他者とのつながりや自己アイデンティティの表現を通して、人は生きがいを感じます。
今、子どもでも、将来はそうなるのです。
今後、さらに盛んになる生涯スポーツにおいて、生きがいが非常に重要な意味を持つことになります。

サッカー指導者としてスポーツ教育に携わる人は、教わる側にも色々な心理状況があることを理解し、
今回の記事を読んだことを活かして頂ければ幸いです。

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